日本の記念コイン誕生物語 | 泰星コイン<創業1967年>

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日本の記念コイン誕生物語

2020年12月22日
 

目次

日本初の記念コイン

日本のお金には、大判や小判、中央に穴が開いている古銭の「穴銭」、龍が描かれた人気の高い「円銀(一円銀貨)」など、様々なものが古くから存在しますが、「記念コイン」として誕生したのは、東京オリンピック銀貨が日本初となりました。

 

昭和39年(1964年)に開催された大18階オリンピック東京大会(会期10月10日~10月24日)を記念して、100円と1000円の銀貨が発行されました。

 

 

<1000円銀貨>

重要:20.00g/品位:.925/直径:35.00mm/発行数:1500万枚

 

 

<100円銀貨>

重量:4.80g/品位:.600/直径22.50mm/発行数:8000万枚

 

 

金融機関の窓口での両替という形式で交付され、1000円銀貨の引換当日(昭和39年10月2日)には、大行列が発生。

 

列に割り込む人が出て喧嘩が発生するなど、警察が出動するほどのパニックとなり、たちまち品切れに。

 

これを機に日本国内での「記念貨幣収集ブーム」が起こり、「大阪万博記念コイン」「札幌オリンピック記念コイン」も発行され、今に至るのでした。

 

……そもそも「オリンピックの記念コイン」は、いつから発行されたのでしょうか?

オリンピック記念コインの誕生秘話

オリンピック記念コインの誕生は、1952年にさかのぼります。ここに至るまでには紆余曲折がありました。

 

実は、東京オリンピックの開催は、1940年に決まっていたのですが、日中戦争の影響で中止が決まり、東京の次点であったフィンランドのヘルシンキが予定されました。ところが、第二次世界大戦の勃発によって、こちらも中止に。

 

結局1940年は、オリンピックが開催できなかった年となったのでした。

 

そして大戦後の1952年、フィンランドは戦後の復興を成し遂げた記念という意義も込めて、「第15回ヘルシンキオリンピック」を開催。同時に、世界で最初となるオリンピック開催記念硬貨「ヘルシンキ大会記念500マルッカ銀貨」を発行したのでした。

 

 

<ヘルシンキ大会記念500マルッカ銀貨>



重量:12.00g/品位:.500/直径:32.00mm/発行数:1万9000枚(1951年)、58万枚(1592年)

 

1964年には、日本で東京オリンピックの記念銀貨が発行され、空前の大人気に。発行による収益は退会運営費に充てられました。この成功がきっかけとなり、その後のメキシコオリンピック(1968年)でも記念銀貨が大量に発行され、世界の記念コイン市場にも影響を与えました。

 

以降、オリンピックの開催ごとに記念貨幣が発行されその収益が大会運営費に充てられる、ということが定着化しました。

 

この歴史がなければ、オリンピックの記念コインは誕生していなかったかもしれませんね。

デザインってどうやって決まったの?

1964年東京オリンピックの100円記念硬貨のデザインは一般公募され、3万512点もの応募があつまり、当時20歳で8人の入選者中ただ一人デザイン経験のない前島昌子(まえじましょうこ)さんによる、聖火やオリンピックシンボルマークをデザインに取り入れた図案が選ばれました。

 

また、1000円銀貨のデザインは、造幣局の工芸官が手掛け、「富士山と桜」をモチーフにしたものとなっています。

 

東京2020オリンピック/パラリンピックの記念コイン

~引継ぎがテーマのハンドオーバーコイン~

 

2016年9月には、近年発行されるようになった「ハンドオーバー(開催都市の引継ぎをテーマとする)コイン」の詳細が公開されました。

 

なんと“日本初”となる、両面カラーのコイン!発行当時は高い注目を集めました。図柄は、オリンピック銀貨の表面には「オリンピック旗と桜とイペー・アマレーロ」、裏面には「東京2020オリンピック競技大会エンブレム」が、それぞれデザインされています。

 

 

<リオ2016-東京2020オリンピック競技大会開催引継記念 1000円カラー銀貨 プルーフ>

 

 

重量:31.10g/品位:.999/直径:40.00mm/状態:プルーフ/発行枚数:50,000枚

 

 

~東京2020オリンピック競技大会記念貨幣  第1次発行分~

 

待望の開催記念貨幣第1次発行分として、10000円金貨1種、1000円カラー銀貨2種類が登場しました。

 

10000万円金貨表面には、流鏑馬の絵柄とともに、スポーツ理念として日本人に親しまれている「心技体」の文字があしらわれ、裏面は、大会エンブレムが刻まれました。

 

 

<東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会記念貨幣 第1次 流鏑馬と心技体 10000円金貨 プルーフ>

 

 

重量:15.60g/品位:.999/直径:26.00mm/状態:プルーフ/発行枚数:40,000枚

 

 

オリンピック1000円銀貨表面は水泳の選手が、日本の伝統文様である「流水」とともに描かれ、裏面にはソメイヨシノとイチョウの葉とともに、大会エンブレムがカラーで描かれました。ケースは立てた状態で飾ることができます。

 

パラリンピック1000円銀貨表面は日本の伝統文様「角繋ぎ」とともに、柔道の選手が描かれ、裏面にはソメイヨシノとイチョウの葉とともに、大会エンブレムがカラーで描かれました。

 

 

<東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会記念貨幣 第1次 1000円カラー銀貨>

 

  

 

<共通詳細> 重量:31.10g/品位:.999/直径:31.10g/状態:プルーフ/発行枚数:100,000枚

 

 

このほか、100円記念貨幣(全20種)と、表面デザインを財務省公式Twitterアカウント上で行われた“一般投票”で決定した「雷神」「風神」が描かれた500円記念硬貨も発行されています。

 

 

<100円記念貨幣 「ミライトワ」と「ソメイティ」>

 

  

 

 

<“初”のTwitter投票で選ばれた500円記念貨幣 「雷神」と「風神」>

 

 

 

残念ながら、新型コロナウイルスの影響で2021年に開催が延期となりましたが、ウイルスが終息し、平穏無事な生活が戻ってくることを祈りつつ、コインを通して、一足先に”オリンピック”を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

参考リンク :

 

著者 Author
yama
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