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ポルトガル国立造幣局の歴史

2021年12月13日
 
ポルトガル国立造幣局の歴史

目次

ポルトガル国立造幣局の概要

ポルトガル国立造幣局外観

ポルトガル国立造幣局外観

 

ポルトガル国立造幣局(Imprensa Nacional-Casa da Moeda, S.A.)は、100年以上の歴史を持つポルトガル国立印刷局とポルトガル造幣局とが合併したもので、おそらくポルトガル最古の国営工業機関です。その事業は、法律によって(1)政府と議会の日刊紙である共和国新聞、共和国議会新聞の発行 (2)硬貨と紙幣の製造 (3)公債と証券の製造 (4)貴金属、工芸品の検定 (5)証券、証書,公文書用紙類の製作 (6)文化的著作物の刊行 (7)上記の諸活動の補完的または付帯的活動と定められています。

 

ポルトガル国立造幣局

 

安全、品質、技術革新を重視するポルトガル国立造幣局の経営は、市民と企業に公開された一連の戦略的方針に基づいており、企業を実益へ導くことを約束しています。それでは、各事業について以下にご紹介していきましょう。

流通貨から各種金属製品までを生産

ポルトガル共和国の流通貨の鋳造は7世紀にわたる伝統です。ポルトガル国立造幣局では、コインとメダル製造の長い歴史とともに、流通貨のみならず幅広いデザインの記念貨、ポルトガルの文化や歴史をモチーフにした記念貨等を鋳造しています。

 

ポルトガルはユーロ圏に統合された際、国内の従前の貨幣制度を完全に切り替えるという大きな課題に取り組むことになりました。大量のコインを一気に製造するのは、国際的水準を持つ貨幣鋳造所のみが可能でしたが、ポルトガル国立造幣局は品質基準と製造期日を遵守しながら、成し遂げました。

 

流通貨の製造の様子

流通貨の製造の様子

 

ポルトガル国立造幣局にとって、国家的・国際的な催事や人物を記念する収集用コインの製造・販売は、重要な事業です。コイン金属製品事業部では、流通貨、収集貨、並びに通常金属と貴金属の製造、ポルトガルの硬貨を独占的に鋳造するだけでなく、外国向けにも最高品質のコイン製造を行っています。未使用、完全未使用、プルーフ仕上げなどのコインを製造しており、このなかにはポルトガル国立造幣局の発行証明書付で毎年発行される、流通用コインのシリーズも含まれています。もちろんコイン製作のアーチストを選ぶ際に必要な商品理解と知識、製品の仕上げ・包装等に対する配慮も徹底。一方では、カジノのトークン、メダル、鋳造芸術品、エンボス印章、電気製版の盾などの金属製品も製造しています。

 

樹脂モールドの彫刻

樹脂モールドの彫刻

 

極印の品質検査

極印の品質検査

1882年から責務を担ってきた貨幣検査所

高価な貴金属工芸品には偽造の恐れがあるため、その品質を保証する必要があります。ポルトガルにおける検定の責任は、18世紀半ば、国王ジョゼ1世の代になって自治体が責任を持つことになり、1882年からは、現在造幣局に統合されている貨幣検質所が、その責務を負ってきました。

 

ポルトガル国立造幣局の貨幣検質所事業部では、以下の多様な活動を請け負っています。(1)宝石商工芸品、記念メダル、貴金属バー、時計の品質管理と検定マークの申請 (2)外国のメーカーブランドまたは同等品の原産国での登録、ライセンス供与、保証金 (3)欧州貨幣検質所協会の貴金属製品の検定と刻印に関する協定、および標準化に向けた作業部会でのポルトガル代表(4)裁判所、経済活動検査局、品質研究所、刑事警察との連携活動です。

 

この事業部にはリスボンとオポルトの貨幣検質所、ポルト県ゴンドマル駐在員が含まれます。検定を求める利用者から預かった記念メダル、時計、貴金属バー、宝石商工芸品は、検定後、刻印をして返却されます。純度に関する刻印は、正式に認可された分析評価研究所に提出され、貴金属の含有量が法的基準を満たしたことを示すものです。

高い品質と生産性を誇るグラフィック事業

ポルトガル国立造幣局は、国際カード製造者協会の会員であり、VISA、Masterといったクレジットカード会社からカードの製造を委嘱されているポルトガル唯一の企業です。この用途に広く用いられるホログラフィック製品を製造できる、イベリア半島ただ一つのメーカーであり、国際ホログラム製造者協会会員でもあります。ホログラムの主目的は、文書の識別、証明書・証書の安全性、製品の信憑性の保証の三つです。

 

ポルトガル国立造幣局のグラフィック事業部では、共和国新聞、共和国議会新聞、自動車運転免許証、パスポート、キャッシュカード、国民健康保険カード、公文書用紙など、幅広い公共用印刷物を製造しています。文化的出版物も自社工場で印刷されており、ホログラフィック印刷の有無を問わず、保証・証明用の印紙も印刷しています。グラフィック部門で利用される最新技術は、常にポルトガル国立造幣局の製造ラインの原動力であり、品質と生産性の上での優れた利点の源泉となっています。活版、オフセット、シルクスクリーンなど最新の印刷技術を駆使し、チップを組み込んだり、安全性の高い紙やインクを使用したりすることで、パスポート、運転免許証、外国人居住資格証明書、弁護士免許、その他一連の身分証明書など、偽造不可能で安全なグラフィック加工が可能となります。

 

ポルトガルのパスポート

ポルトガルのパスポート

 

 

銀行通帳・銀行カード

銀行通帳・銀行カード

 

 

造幣局では、企業や市民が使用する所得税、公開入札、記録請求、サービス要求などの公文書用紙のデザイン、製造、在庫管理、交付について、行政当局と協力しています。エンドユーザーまで情報を電子データで送信するのは、公的機関と民間企業が協力して開発した技術の一つです。

 

オフセット印刷機

オフセット印刷機

 

 

運転免許証のレーザー彫刻過程

運転免許証のレーザー彫刻過程

文学から政府刊行物まで手掛ける出版事業

ポルトガル国立造幣局は、出版事業を約40年前に再開して以来、人々が必要とする書籍が確実に入手できるよう努めてきました。文学上の古典、現代作家、ポルトガル語圏諸国の作家の作品、文学研究、思想書・研究書、歴史、国民研究、文化総合、文献学、大学史、古典哲学、芸術と芸術家に関するエッセイなど、これらの書物はすべて、リスボン、オポルト、コインブラにある造幣局直営書店とリスボン、オポルト、アヴェイロの市民商店、全国の大手書店のほか、ポルトガル国立造幣局のホームページでも入手できます。

 

ポルトガル国立造幣局は、代表的刊行物、共和国新聞と共和国議会新聞のみならず、工業所有権公報、労働就職公報の出版元でもあります。国会議長、閣僚評議会等の政府機関から毎日原稿を受け取り、綿密な文章作成と校正を行って印刷し、購読者に発送するか直営書店で販売しています。

コインも入手できる直営書店

ポルトガル国立造幣局の直営書店は、多くの国民の便利を考え、最も人口の多いリスボン、オポルト、コインブラの繁華街に置かれています。店舗の利用者は、専門家たちの助けを受けながら商品とサービスを入手できます。直営書店では共和国新聞や共和国議会新聞も販売しており、インターネット上の紙面も設置されたパソコンで閲覧できます。ポルトガル国立造幣局のコイン、メダルなどの工芸品も、ここで鑑賞し入手することが可能です。

ポルトガル国立造幣局の近年の代表的記念貨シリーズ

貴重な貨幣

貴重な貨幣

 

 

マゼラン世界一周500周年

マゼラン世界一周500周年

 

 

ヨーロピアン・プログラム

ヨーロピアン・プログラム

 

 

イベロアメリカン

イベロアメリカン

 

著者 Author
南の人
最初に入手したコインは1900年のアメリカモルガンドルでした。