コインは古代から現代まで使われ続けてきたものですから、古今東西様々なものがあります。
まずは古代から現代までの時代別で見たコインについてご説明いたします。
「時代別」コインについて
古代コイン
紀元前後ぐらいのコインを指します。原始的な見た目が特徴で、金塊・銀塊等に刻印を押し付けたような見た目をしています。はじめは信仰する神々が刻印されていました。有名なのはフクロウの描かれたテトラドラクマ銀貨で、現代においても様々なデザインに使われている有名な図柄です。
アンティークコイン
アンティークコインとは主に古代以降、中世のコインを意味します。「中世」の定義は諸説ある上、国により百年単位で違うとされているため具体的な年号はありませんが、一般的には封建主義の時代を指します。「アンティークコイン」という言葉は日本では割と近年多用されている単語です。宣伝広告に適した耳ざわりの良い響きのため、100年程前(場合によっては数十年前程度)のコインであっても総称としてアンティークコインと表現されることがあるようです。コインにもよりますが、金銀などの貴金属で作られていることが多く、素材そのものの価値が高いことが多いです。
近代コイン・近代銭
一般的には昭和初期ごろまでのコインを指します。この頃には造幣技術が確立され、見た目にもしっかりとした作りのコインが多いのが特徴です。戦勝や統治者の即位記念などを祝う「記念貨」と呼ばれるコインの発行数がかなり増えます。デザインもメッセージ性に富んだものや、高い彫金技術で作られた美しい肖像のコインが多くなり、それゆえにコレクターがとても多いジャンルです。この時代もまだ貴金属製のコインが流通していたので、素材価値の高いコインが多くあります。近代コインだけでなく全てのコインに言える事ですが、もちろん希少かつ人気のあるコインには素材そのもの以上に高い付加価値が付いています。
古銭(古金銀、穴銭など)
古銭というと、一般的には明治維新より以前に発行された日本のお金を指すことが多いです。分かりやすいところで言えば時代劇に良く出てくる大判金や小判金、または銭形平次が投げている穴銭などが挙げられます。日本の家庭であれば、まれに押入れや蔵の奥からこのような古銭が出てくることがあり、小判や大判はどれも大変高価です。(数万~数千万単位)
現代コイン・現行貨
現代コインとは、戦後から今に至るまでのコインを総称した呼びかたです。金や銀でコインを作る時代が終わったので、一般に流通しているコインに関してはアルミ(1円玉など)、黄銅(5円玉など)、青銅(10円玉など)、白銅(100円玉など)が一般的です。現代技術を駆使した偽造防止技術が積極的に使われることが多く、日本の500円玉に見られる透かし文字やユーロ圏のコインでよく使われるバイメタル貨など、近代までとは一線を画す新しいデザインが次々と作られています。また、後述する「記念コイン」の数は1970年代ごろから急激に増え、いまや世界中で作られ続けています。
コインの「種類」について
記念コインとは
戦勝や王室の慶事を祝うため、古くは古代から記念コインは作られてきました。政治的なメッセージを国民に広く伝える役割を担ってきた記念コインは、情報インフラの発達でその役割が薄まり、収集家に向けて作られる性質に変わってきました。冬季と合わせると2年に一度開かれるオリンピックを記念して発行されるコインがその最たる例です。一度に発行するコインの種類はかなり増え、デザインも独創的なものが多く、飽きのこない作りになっています。最近では市場規模に合わせて十分な数を作られることが多いため、古いコインと比べて、高いプレミアが付かないものが多くなっていますが、例外も多く存在します。一例を挙げると、近年の中国経済発展に伴い1980年代以降の中国コインの価格は驚くべきスピードで高騰しました。このように、世界の情勢によって高いプレミアがつく例も多くあります。
地金型金貨(現代)
例外もありますが、一般的には純金または純銀で作られた一定種類のコインを指します。カナダのメイプルリーフ金貨、オーストリアのフィルハーモニー金貨、中国のパンダ金貨など様々な種類のコインがあり、重さは一般的なところで1/20オンス(約1.5g)から1オンス(約31g)、特大となると5オンス(約155g)や1キロになるものもあり、多種多様です。毎年デザインが一新されるものや、毎年変わらぬデザインで愛されているものまで様々です。コインとしてのプレミアが付くことは一部を除いてありませんが、その高い純度から換金性が高く、また貴金属なので素材の価値以下になることはありません。また、金の延べ棒を所有するよりデザイン性に優れているため、コレクション感覚で金資産の保有が可能です。1/20オンスであれば比較的安価なため、他の金貨と比べて気軽に購入できます。金や銀はその金属単体ではとても柔らかく、すぐ磨耗してしまいます。純金は人間の指の爪と同程度の硬度しかありません。これではすぐ磨耗してしまうため貨幣としては適しませんが、地金型金貨や地金型銀貨は磨耗するような用途では使われないためこのような純度になっています。
コインの「状態」について
コインの価値は保存状態によって大きく変わります。大きく「普通品」「美品」「極美品」「未使用」「完全未使用」と分かれます。
文字通り「完全未使用」が最上の状態を表す表記で、普通品に近づくほど状態評価は下がります。
コインの状態評価は基本的に減点方式です。コイン製造時の状態を最上級とし、傷、腐食、洗浄痕、修正痕などがどれ位あるか総合的に見て評価を定めます。ただし一口に傷や腐食の状態といいましても、傷やスレの度合いや多さ、腐食の具合などを厳密に数値化することはほぼ不可能です。したがって、これらの状態評価は主に目で見た感覚により付けられます。この状態評価を正確に下すにはコインについて専門的な知識を有していることが前提となります。コインによっては熟年の鑑定眼が必要になるケースも多々ありますが、ここでは初めての方にも分かるよう、一般的な状態評価の目安をご紹介いたします。また、下記に解説する状態評価に加え人為的な洗浄痕、ミガキ痕、キズの修正痕や指紋などがある場合は評価の減点対象となります。
未使用
コイン製造時の「いかにも未使用」という色をはっきりと残した状態を指します。コインの模様に磨耗が無いことが条件です。ただし、製造時または運搬時に付いた傷やスレは認められます。(流通用のコインは大きな麻袋にジャラジャラと大量に入れられてまとめて運搬されるため、「バッグマーク」と呼ばれるコインのフチが他のコインにぶつかった様な痕が付きがちです。)
極美品
少々の磨耗であれば認められますが、模様がハッキリと残っていることが条件となります。流通による傷やスレは多少ありますが、全体としてしっかりと鑑賞に堪えうる状態です。
美品
コインの模様に磨耗が見受けられますが、全体的に見て模様が判別できる状態ではあります。傷やスレも相当程度あります。「美品」と呼びますが、状態は様々で「磨耗は少ないが傷が多い」「傷は少ないが錆びによる腐食が進んでいる」「何らかの汚れが付着しているが全体的には悪くない」など、コインにより欠点の違いが激しいのが美品の特徴です。鑑賞に堪えうるコインとしては最低限のラインと考えるコレクターも少なくありません。しかし、お値段は比較的手ごろになる傾向にあるので、入門用としてご購入いただく場合、「美品」でも充分に楽しむことができます。
普通品
コインの種類は判別可能ではあるものの、キズ、磨耗、サビなどが多いものを指します。模様の多くが磨り減っているコインもあります。この「普通品」よりさらに状態が悪くなると「稍劣」や「劣」という状態評価になることがあります。