十歳以上も年の離れた姉に、くっつき回っていた小学生の私は、あの日もデパートについて行った。帰り、タクシーを降りる時迷いに迷った姉は、東京オリンピックの記念貨でタクシー代を支払った。今思えば、持ち合わせがなかったのであろう。
それから姉は、ことある度に、記念貨で支払ったことを後悔していると私に言った。 その時、単純に思ったことは、お金を稼げるようになったら、姉に東京オリンピックの千円貨を取り戻してやろうという漠然とした思いだった。
やがて金融機関に就職した私は、記念貨が発行される度に、姉の分まで手に入れられるようになった。でも千円貨は、今のように容易には手に入らなかった。ふと手にとった雑誌からの購入になった。額面より数倍もする東京オリンピック記念貨を2枚求めたのを機に、収集は始まった。
間もなく結婚が決まり、嫁いですぐの私に、義父は造幣局に勤めていた頃、自分が収集していたメダルやミントセットを数十点もくれたのだ。面白いように数年で集まったあの頃、まさに私はコイン収集家になりつつあった。
2006年10月25日
PN:匿名
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