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第四回『世界コイン百科』
著者:
エーヴァルト・ユンゲ
著者はエーヴァルト・ユンゲ。ベルリン生まれ。ロンドンでレコード屋を経営して成功しました。甥に洗礼の贈り物として聖ペテロの図柄の金貨を購入したことがきっかけでコイン収集を始めるようになりました。また、1968年から1969年にかけてCOINS、Medals&Currency
Weeklyの編集顧問をつとめました。日本語訳は『泰星コイン・マンスリー』の編集を担当していた安部英夫です。
この本は一言で言うなら「辞書」です。そう、みなさんが普段使っている国語辞典や英和辞典とおもっていただければイメージし易いと思います。国語辞典のコイン版といった感じです。貨幣の名称、造幣用語、人物、場所などコインに関する用語約1,500を一冊にまとめたものです。アルファベットのAからZの順番に掲載されているので、調べ易いです。
では、掲載されている中からいくつか気になる用語を紹介していきたいと思います。
まず、「ALUMINIUM(アルミニウム)」からいってみましょう。
「この金属は20世紀に貨幣鋳造に用いられることが少なくない(純粋な状態では傷つきやすく、合金にするほうが多い)。1920年代、30年代、ヨーロッパでは、フランス、ドイツ、ルーマニアがもっともよく用いたし、イギリス殖民地貨では東西アフリカが用いた。軽いことは大きな長所であるとともに欠点で、ちゃんとした<ほんものの>貨幣という感じに欠ける観がある。」と記述されています。
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確かに。使用する人のことを考えると、丈夫で軽くてお金にするにはぴったりでしょうね。私たちも実際アルミニウムで出来ている1円玉を使っていますが、「お金」という重みがあまり感じられませんよね。額面が小さく、また、軽いからこそ、そう思わせてしまうのでしょう。収集家の皆さんにはアルミニウムのコインってどう写っているのでしょうか。コレクターからすれば、おもちゃのような感じがして収集家魂を揺さぶるような存在ではないのではないでしょうか。そうはいっても様々な国からアルミニウムのコインは発行されていますので中には面白いコインがあるかも知れませんね。
次は「CHIHUAHUA(チワワ)」です。
「1812-22年、メキシコ独立戦争中、スペイン王党派の造幣所があった。ここで造った貨幣は、8レアル貨だけである。はじめのうちの発行貨(1810-13)は、実は鋳物で、1814-22年の極印で造られた貨幣は、この初期の鋳物に加刻したものが多かったが、もとの通りの貨幣もある。すべてTの字と王冠のつきのざくろと、ふつうは表面の右向き国王像の両側に加刻しているが、中には裏面の柱の間に刻んだものもある。チワワはのち、メキシコ共和国の常設の造幣廠となり、CHまたはCaのミントマークを刻み、1895年まで稼動をつづけた。」と記述されています。
チワワ?犬??チワワ図のコインの説明かとおもいきや、なんとメキシコの地名でした。しかし、調べたところ、1850年にアメリカ人がメキシコのチワワ市から犬を連れ帰ったことからチワワ犬の呼び名がついたそうで関係はありましたね。
さて、このミントマークですがミントマーク別に集めている方もいらっしゃいますよね。日本は大阪・広島・池袋の3箇所ありますがミントマークはありません。しかし、他の国の場合、どこの造幣局で造られたかを区別する為にミントマークを刻印する国もあります。
例えばドイツですと現在5造幣局あります。
A-Berlin(ベルリン)、D-Munich(ミュンヘン)、F-Stuttgart(シュツットガルト)、G-Karlsruhe(カールスルーエ)、J-Hamburg(ハンブルグ)です。(E-Muldenhutten(ドレスデン)は1887-1953まで。)
一見同じ図柄のコインでもよく見るとミントマークが違う。収集家熱を上げるにくい存在ですね。だからおもしろい。その気持ちよく分かります。ただし、種類が5つもあると集めるのはなかなか根気のいることでしょうね。
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最後に、「BALLONING MEDALS(気球メダル)」です。
「収集貨に人気のあるテーマで、航空術のこの分野を開拓したフランスでは、とくに人気が高い。こうしたメダルは、1783年モンゴルフィエ兄弟がはじめて気球で上昇したそのころにはじめて造られ、ついこのごろ(1979年初の大西洋横断記念メダル)までつづいている。」と記述されています。
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気球の図柄とは珍しい、と思いました。フランスの「ジュール・ヴェルヌの世界1/4ユーロアルミ白銅貨」に小さく気球が描かれていますが、気球がメインに描かれているコインは見たことがありません。この本に気球メダルの写真が掲載されているのですが、実にすばらしい。ぱっと見ると、空に気球が浮かんでいる様子を表したシンプルな図柄なのですが、よく見ると気球の模様も繊細だし、人が手を振っている様子や煙が流れている様子、さらには人が旗振っているところまで描かれています。詳細はというと、1783年11月、パリ上空での初の有人気球浮揚を描く気球乗りメダルとなっています。発行者は不明だそうでなんともミステリアスです。
今回の「世界コイン百科」ですが、国語辞典で調べた内容の違いがおもしろかったなと思いました。アルミニウムを国語辞典で調べると「金属元素の一つ。銀白色で軽く、展性・延性に富み容易に酸化しない。軽合金の主成分とするほか、食器類に使う。」となっています。この本だとコイン収集家目線でみた意味となっているので収集家としての知識を増やすには良い教材になるでしょう。主に、古い外国銭を集めている方向きかと思います。
気になる用語がございましたら泰星コインショールームで調べてみてはいかがでしょうか。
ご来店お待ちしております。
担当:若菜 |