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これからコイン収集をはじめようとお考えの方や、収集の方法にちょっと行き詰まってしまった方へ。


第七章 『コインの図柄の素朴な疑問13』


今回も前回に引き続き、ブリタニアコインのご紹介を致します!
ブリタニアコインのご紹介は今回で最後となります!前号をご覧になりたい方は右上のバックナンバーを見る からご覧ください。

1816年、王立造幣局がロンドン塔からタワーヒルに移って、完全な貨幣改鋳が行われた間、銅貨は発行されず、次にブリタニア像が登場したのは、ウィリアム・ワイオンのデザイン・彫版になるジョージ4世(1820-30)の新ファージング貨でした。あきらかに、ワイオンは先輩たちの作品に負うところのきわめて少ないデザインをという心構えで仕事に取り組んでいました。
旧作品が無冠であったのに、ワイオンのブリタニアは、かぶとを冠り左手を高くあげて三叉のほこを掲げた、右向きの座像です。右手はオリーブの小枝と楯の縁を掴んでいて、楯はキュヒラーのブリタニアとは異なり、ずりおちないようにがっちりと守られている感じがしています。
ブリタニアの足元にはライオンがうずくまり、ブリタニアの新しく自覚された地上の力を象徴しており、頭だけが見えています。

1825年、1、1/2ペニー、ファージングの一連の新コインを発行、ワイオンは新しくさらに堂々たるブリタニア像を作りました。三叉のほこはさらに身に添い、オリーブの小枝は余計なものとして省かれ、右腕はじかに楯にかかっている図柄です。
頭には新しいコリント風のかぶとを飾りみごとな出来栄えのブリタニア像は総じて旧作品よりもがっちりしているように見えます。 さらに航海上の邪魔ものはすべて取り除いたのでデザイン的な古典簡潔さは強調されています。
総体的に効果をあげているのは、犯しがたく厳しいながらにもの堅い、美しい女神像です。基本的にはこれと同様なブリタニア像がウイリアム4世(1830-37)の治世に登場しましたが、これはイギリスの機械造りの銀貨にはじめてのお目見得でもありました。
したがって、この4ペンス貨は<ブリタニア・グロート>と呼ばれるようになります。
この額面はビクトリア女王(1837-1901)の時代にも二度造られており、最初は若年頭像に次いで治世50年のコインの一部として登場しました。 これは英領ギニア用に1888年に発行されたのみです。 ワイオンの美しいブリタニア像は、ビクトリアの銅貨にずっと用いられましたが、1860年銅の変わりに青銅(銅95%、錫4%、亜鉛1%)が用いられてからは、ウィリアム・ワイオンの息子レオナード・チャールズがデザインを修正しています。

主要な点では父のデザインを踏襲したが、ブリタニア像は現実性を加え霊妙さを減じました。
レオナードはキュヒラーの手法を借り、波浪を復活、ブリタニアの後方、左手に灯台を配しました。右手には大きな帆船が出航してゆく様子を描いています。何年もの間に、裏面には小さな修正がいくつも加えられましたが、レオナードのブリタニア像は1891年その没後も1894年まで続きます。 1895-1901年、ビクトリア女王のヴェールを被った老年頭像コインにジョージ・ウィリアム・ド・ソールが新しいブリタニア像を刻みました。

新しいブリタニアは、ウィリアム・ワイオンの傑作に表面上は似ているように見えますが、腕を伸ばし三叉のほこをほとんど垂直に握り、右手には大きめの楯をこれまた垂直に持っています。ウィリアム・ワイオンのつくりにくらべれば華奢な感じは少ないものの、それでもレオナード・ワイオンにくらべればずっとほっそりしています。

ウィリアムの整ったデザインへの回帰が、灯台や帆船を除いたところにも見られます。ド・ソールの座像は何度も修正されましたが、エドワード7世(1901-10)、ジョージ5世(1901-36)の時代にも、続いて使用されました。ジョージ6世(1936-52)の新通貨には、わずかに1ペニー貨の裏面だけではありますが、最終的修正が行われました。1/2ペニー貨では<ゴールデン・ヒンド号>、ファージング貨ではみそさざいがブリタニアに取って変わりました。ド・ソールのブリタニア像が青銅貨に刻まれたのは、レオナルド・ワイオンのものより長かったが、ド・ソールが記憶されるゆえんはおそらくフローリン銀貨にデザインした素晴らしいブリタニア立像でしょう。モデルは当時の造幣局長の娘で、ド・ソールは彼女を風に衣服をなびかせた力感あふれるブリタニアとして描きました。

修正版(1937)では、ブリタニアのかぶとは頬当てが顔当てに代わって登場し馬の毛の羽飾りは一段とこじんまりしており、左腕で肱のところで曲げられ、右腕は大きくもっと丸味を帯びた楯を安定させています。総じて、ド・ソールの原作より小さくなり、さらに空きを埋めるために再び灯台が復活しました。 些細な修正を施しただけでこのデザインもまた踏襲され現女王の代まで続きました。 さまざまな変更の効果は完全に古典的なと、写実的なものを混和として表すことでした。




1ペニー青銅貨は1967年以降鋳造を止めてしまいましたが、ブリタニア像は引き続き使用されています。アイアンサイドのデザインで、ちょっと見ると従来のブリタニア像に負うところは何もないように見え、座っているというより反り返っている感じでウィリアム・ワイオンの第一次ブリタニア像を偲ばせます。ギリシア風のかぶとと顔当が復活、ライオンがブリタニアの足許にうずくまっています。総じて小型でワクワクさせる様な感じはしませんが、しかしそれは貨幣地金の形に不釣合いのためにおこった感覚ではないでしょうか。さまざまなブリタニア像を包むビネット(ぼかし版)は、約300年もの紙幣によるものだということも記憶しておくと良いでしょう。はじめのほとんどは、真似事で左手にオリーブの小枝、右手にやりをもつ姿で、楯には聖ジョージ十字架が描かれています。
さらに時代が下がると、左手に槍、右手にオリーブの小枝をもったブリタニアの正面像が描かれました。こうした現代ブリタニアは、極度に写実的で青銅貨に総じて見られた、様式化された古典的荘厳さは完全に欠如しています。しかしブラッドバリーの第3次10シリング紙幣には、毅然として岸に立つブリタニア像を描き、古典的様式への一時回帰が見て取れます。これは、側面から見たブリタニアで、ジョージ・ド・ソールがフローリン貨に描いた風になびくブリタニアの雄姿がすぐに思い出されます。
しかしおおむね、紙幣にはブリタニアの表現について古典様式がひろく採用されていたわけでは無く、最近の5ポンド紙幣に復活し、そしてギリシア風のかぶとを冠ったブリタニア頭像がすかし模様として使用されていることはもちろんです。
ローマ人のブリタニア図採用はさておき、ブリタニア像は300年間ずっとイギリスのコインに刻まれてきました。この間レティエの肉感的なブリタニアからクローカーの貴族的ブリタニア、キュヒラーの量感あふれる海のブリタニアを経て、冷たく古典的で堂々としたブリタニアとさまざまに変化した。その間ブリタニアは槍か三叉のほこをもち、槍には聖ジョージ十字架あるいはそれと聖アンドリュー十字架の組み合わせを描いていました。しかし、いちじるしく実際的な現代ブリタニア像でさえ、その持続的かつ超時代的な特質を裏書しているのです。

<参考:月間マンスリー>

次回のコインワンポイントレッスンは『中国パンダコインについて』 です!




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