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| 「貧乏コインコレクター一代記」
70代男性 PN:匿名 |
昭和11年(幼稚園時代)頃、道路で今まで見たことのなかった大正時代発行の5厘銅貨を拾った。警察に届けなければと思いながらも、二、三軒先にあった駄菓子屋さんで小さな飴玉を買って食べてしまった。神様どうかお許し下さい。でも子供心にあのコインの美しさを今でも忘れられない。
第2次世界大戦が始まり、小学校でも小遣いを郵便貯金し、その利子で戦車や戦闘機を造る費用に当てる運動が始まった。終戦まで約10円(当時の小遣い5〜10銭/月)貯まったが、戦後のインフレで何も買えない金額になってしまった。数年後、国はインフレ利子を加算して清算したが、学用ノート2〜3冊買えただけだった。また敗戦が色濃くなった昭和18年以後は、コインの質が悪化して銀貨が白銅貨→ニッケル貨→アルミ貨→錫貨になり、さらに50・10・5銭紙幣になってしまった。
昭和38年に父が仕事でアメリカに行き、お土産に20ドルの金貨を貰った。綺麗な外国コインとの初出会いであった。今でも親の形見として、大切に保管している。
私が住んでいた田舎町にはコイン店はない。大学生になって住んだ県都の一軒だけの宝石店の片隅に、江戸時代の寛永通宝などの穴銭が少数売られていたので、初めてコインの収集を始めた。小判などの高額品は買えなかった。
昭和40年頃上京して浅草寺参拝に行った。その時6区の片隅に小さいコイン店(泰星交易内の郵趣部)があり、そこで岡さん(故 岡政道)が初心者の私に対しコインについて丁寧に色々30分も説明して下さった。「お金を出せば高いコインも全部買えるし、儲けるために収集する人も多くいるが、それは本当の収集家とは言えない。収集の目的はそれを発行した未知の国々の国情や人々の生活状態、そしてコインの芸術美や発行の趣旨などを理解することに尽きます。そして小遣いの範囲で、自分が気に入ったコインを買いなさい。」とお話して下さった。私はその話に感動してコインクラブの会員になりました。間もなくコイン店(泰星交易内の郵趣部)は発展して「株式会社泰星スタンプ・コイン」となり、「泰星コインマンスリー」を発刊する日本最大のコイン商として、世界各国のコイン関係の政府機関や関係団体と交流するとともに、世界や日本のコイン展にも力を注がれていることに心から祝福いたします。
昭和60年前後に始まった経済バブルがコイン界にも波及して、明治3年の一円銀貨が10万円以上に暴騰しました。私の友人も10数万円だして4〜5枚買って、儲かったと自慢していましたが、数年後にバブルが崩壊してコインの値段もバブル以前の値段になりました。友達はもう辞めたいと苦い顔をして一言呟きました。またコイン店も何軒か倒産の噂も聞きました。この期間、私は一枚も売買しませんでしたので、涼しい顔でいました。
またこの頃から主に台湾?製の偽物が出回ってきました。私も偽物承知で貿易銀や和銅開珎などを本物市価の一割位で買って今も持っています。幕末時代の混乱期には大量の贋小判が造られ、特に田舎に多数出回っているので要注意のようです。知人の町の助役さん宅で、先祖伝来の数枚の大判・小判や甲州金を見せられ、これ本物ですかと聞かれましたが、私には鑑定能力が有りませんので分かりませんと返答しておきました。万一私が買う場合には完全な鑑定能力がある貴社から買うのが一番だと思っています。
私が現在所有しているコインは1000枚を超えていますが、金貨も皇朝銭も小判もありません。しかし摩滅したコインを見ると、これだけ磨り減るまでには見知らぬ何百〜何千いや何万〜何十万人の手が触ったか知れません。どんな人達だったか、そしてコインを受け取り・手放す間にどんなドラマがあったのか、色々と空想して楽しんでいます。
私の子供や孫達はコインにあまり興味がないようなので、私の死後にどう処分するのか分かりませんが、売るなら「泰星コイン」にと言ってあります。その節はよろしく。
【コメント:泰星コイン 岡 正博】
コインに対する愛着と収集家としての心構えはまさに弊社が社是として目指すものであり、身が引き締まる思いで拝読致しました。思えば私にとっても、亡き父に連れて行かれた店の中でとりわけ思い出深いのが昭和40年頃の浅草新世界にあった店でした。
その当時の浅草はまだ庶民の街として非常に活気があり、花屋敷や六区の看板に胸をときめかしたものでした。当時中学生だった私は切手収集を趣味にしていましたが、切手を通じて、歴史や見知らぬ国に興味を持つようになったことを思い出します。
この度はご投稿有難うございました。今後とも宜しくお願い致します。
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